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歌と朗読と言葉をつむぐ*まほろカンパニー

朗読の妖精

ほろほろ写真日和Horohoro-photo-biyori

浜田、寄席に行く

2016年5月某日。
浅草演芸ホール。

寄席に行くなんて・・・
おお!50年ぶりだ?!

浅草演芸ホール

毎日、朝から晩まで40人の芸人が高座に上がり、持ち時間は15分で
お客を楽しませる。

落語、漫才、紙切り、三味線漫談など盛りだくさん。

木戸銭3000円を払うと、一日中楽しめるというシステム。
芸人ひとりにつき、75円で楽しめるという計算だそうで。

素晴らしい!

ドアの外に立つと、中から「わっ!」と笑い声が聞こえる。

あぁ、たくさんの人が笑ってる。
それだけでも、ワクワクしてくる。

ドアを開けて、いざ中へ。

満席。
1階席は立ち見まで出ている。

笑うために、これだけたくさんの人が来ている。

2階席の一番前に陣取る。

食べ物の持ち込みも、自由。
中には、お弁当を広げたり、おつまみとお酒を片手に笑っている人もいる。

なんだ、なんだ、このラフな雰囲気!
すごく、ステキ!!

落語家のしわがれた声が場内に響く。

練り上げられた声は、良いなあ。
ご隠居さんや与太郎の声のニュアンスは、女声の音域では出せないものなあ。
女性落語家が大成しないのは、声が厳しいってことでもあったんだなあ。

落語家が、噺の途中でくしゃみをした客席の小学生に声をかける。

「大丈夫かい?」

うなずく小学生。

客席と舞台の近さも、寄席の醍醐味。

そういえば・・・

唐突に思い出した。

私が5〜6歳のころ、大阪の親戚が、吉本の花月劇場に連れて行ってくれた。

一番前の席のど真ん中で観ていた私は、あまりの面白さに大爆笑。

するとステージの上で、奇妙な楽器をジーコジーコ奏でながら
「あ〜い〜や〜」と掛け声をかけていた、ミスハワイが言った。



「お嬢ちゃん、そんなにおもろいか?」

うなずいて、また笑う私。

「ええお客さんやなあ。帰りに楽屋に来てなあ」

次から次へと出てくる芸人さんたちは、みんな私を観て口々に言う。

「今日は、ええお客さんが来てるでって楽屋で話題になってたけど、
ほんまやわあ。

お嬢ちゃん、楽しいかあ?」

楽しくないはずがない。
気を良くした親戚は、帰り際、真っ正直に楽屋口に私を連れて行った。

「いやぁ、ほんまに来てくれたんやな。
今日は、おおきに」

ミスハワイはそう言って、私にお菓子をにぎらせて、抱っこまでしてくれた。

通り過ぎる、かしまし娘や、ちゃっきり娘からも頭を撫でられ、私はしばらく
女性芸人さんに囲まれた。

私の原体験、これだったのか。

華やかで、ちょっと寂し気で、濃いお化粧の匂いのする、優しい女芸人さんたち。
とてつもなく楽しい時間をくれた、面白い女神様たち。

劇場や楽屋の空気が切ないほど好きなのは、この時の優しい経験から
来ているのだなと、ようやく気付いた。

笑いは、良い。
笑いを提供できることは、本当に尊い。

子どものころに刻み込まれた、笑いへのあこがれ。

寄席通いが、始まりそうな気がする。


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